中学生以上の生徒や学生だと、フィーリングでは英語が身につかない!?

英語の勉強方法に、英語圏の子どもは普通に英語を話すんだから、日本人だって子どもの気持ちになって、つまり英語のネイティブスピーカーのフィーリングを理解すれば英語はできるようになるというものがあります。

実際、そうやって英語を習得した方もいるでしょう。

「日本人」と言っても、いろいろな性格や特性があるのですから、上手くいった方もいます。私も知っています。

しかし、多くの人にこれを当てはめてしまうのは問題があります。

まず、時間がかかります。

自分たちが子どもだったときにどれぐらい日本語を習得するのに時間がかかったことか思い返してみてください。

すでに「英語が苦手」な受験生にはそんなに時間がありません。

特に、他の科目は好きだけれど、英語自体にそれほど興味がない人は、英語だけに時間を取られてしまうのはもったいないと感じるかもしれません。

中学生以上の年齢だと言語の習得が難しい

次に、そもそも非常に残念ながら中学生以上の年代になると、母語以外の言語の構造や音を自然に理解し習得する力は失われると言われています。

(「第二言語取得の臨界期」といいます)

これは人間の言語習得能力に関わるところで、人は元々母語を使えればよかったのですから、幼児期から10歳ぐらいまでの間に言語を理解する能力はピークを迎え、その後衰えていてしまうのです。

中高生で英語は身につかないの?

中高生に英語は諦めろって!? と思った方も多いのではないでしょうか。

しかし、答えは「いいえ」です。

中高生ぐらいの年齢では、思考力が高くなっていきます。

青年期は自分で考えて習得する力が一番高い時期です。

考える力がつくということは、「なぜ?」と思ったり、「先生の言っていることに納得がいかない」と思ったりする時期でもあるのです。

ここでとにかく丸暗記しましょうとか、こういう勉強法だと英語の点数が上がるんだよと、基礎を蔑ろにした状態で上に積み重ねてしまうと、基礎が弱いわけですから勉強法もグラグラします。丸暗記をするのだって一体いくつ覚えればいいかわからないぐらいです。

ここで大事なのは英語の基礎、語彙と文法です。

もちろん語彙と文法を身につければ、明後日には英会話はペラッペラ、読解もス〜イスイとはいきません。

もっともっと語彙は増やしていかなければならないし、英文をたくさん読むというのは当然やらなければいけません。英文法だって1日で学ぶべきことが終わるものではないのです。

受験生の場合は時間ない中で大変だと思いますが、最初に「英語の文章の組み立て方」がわかることで、丸暗記をしなければならない箇所が減りますし、何より先々まで応用する力を育むことができます。

最後に:やっぱり早期教育が必要だった?

英語は幼児教育でも小学生でも大人気の科目です。

日本で暮らし、日本語を話す両親や周囲の人とともに暮らしているなら英単語の「音」には耳に慣らしておくことは大事でしょう。しかし、英語を話せるようになるまでとにかく「英語漬け」にするといった勉強方法はおすすめしません。

その時期に大事なのは、次に来るべき思考力のピーク時の基礎を作ることだと思います。

お子さんが楽しくやっていればもちろんいいのですが、他の分野に興味をもった場合は大いにそちらを生かしてあげるのがいいのではないでしょうか。

英語はあくまでコミュニケーションの手段です。「英語を話す」ことが大事なのか「英語で○○を話す」ことが大事なのか考えなければいけません。

それがやがて高い思考能力を開花させ、必要になったときに英語に取り組む力となると私は考えています